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VOGUE〜鏡の国のハサミ〜

全ての人間が豊かに生きることに渇望し、

幻影の美しさを追い求める。

それは文明を持った我々が対峙しなければならない「サガ」として私たちを永遠の

苦悩のスパイラルに飲み込んでいく。

けれど真の美しさは合わせ鏡の影のように捉えがたく、

散り散りに多在し、求めれば求めるほど遠く離れていき、残酷に枯れていく。

生きることに固執しない赤子、生きることを諦めた老人、

それがこの世の最も美しい命の姿なのかもしれない。

しかし、はたまた青年期に訪れる美しさは

悪魔が産み落とした幻影に過ぎないのか。

美とは何なのか。

この人間のみに与えられた命題を

私たちは命をかけて追い求めるのである。

たとえ、それを悟った時に息をしていなくても。

鏡はこちら側を

そっくりそのまま映していると

お思いでしょう。

よく見てご覧なさい

あちら側はこちらより

幾分散らかっております。

テーブルのバラの花も向こう側

では「枯れる」ことなど知らぬ

顔で美しく咲き続けています。

さあGameを始めましょう。

このゲームに参加したければ

ひとところに留っていては

いけない。

全力で駆けぬけること、

それがこのGameのルールなの !

私は時間を逆戻りに

生きています。

そう、待ち針が刺さる前に

痛みを感じる。

その危険性を察知して

私が危険の警鐘を鳴らす。

私が見ているのは再来週に

起こる事、未来。

誰よりもいち早く

時代を見通すわ。

世界中が私の新作を

待ち望んでいるわ。

それがどういう意味か分かる?

パリ・ミラノ

ニューヨーク!

世界中のショーウィンドが

私の新作を待ち望んでいるのよ!

庭園のバラは

一見、赤のようだけれど

白いバラを赤く塗っている

だけ。生地も同じ。

あなたの顔も見分けにくいわ

目が二つでしょ

みんなの顔とよく似ているわ。

鼻が真ん中にあって

口がその下でしょう。

目が二つとも鼻の片側にあるとか、

口が鼻のてっぺんにあるとか

なら少しは

分かりやすいのにねえ。

麻理子さんあなた刺があって

しおれ始めているわ。

それじゃどんな蜂も

近寄らないでしょう。

何を考えているのかは

分かっているよ。

でも実は全然違うんだなこれが

逆に

もしそうだったら

そうかもしれないし

仮にそうだったとしたら

そうだろうけど

実はそうでないかもしれない。

知りたがりはそのつけを

払うことになるわ

そう、そうよ

私には美がある

そして溢れ出る才能

神様にもらった美

そしてママから受け継いだ

この才能

私を邪魔する者はもういないわ

さあ、始めましょう

最高のショーを

私は世界に愛されるんだから。

人にはそれぞれ一生のうちに

成し遂げるべき天命というもの

がございます。

それがなんなのか分からずして

命の炎を燃やしきる者も

大勢おります。

あなたは成し遂げたんです

完璧を

完璧な美を。